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岡田茂吉を語る

病気の概念を変えた岡田茂吉

アンドルー・ワイル × マイケル・ディクソン

アンドルー・ワイル

医学博士。1942年アメリカ・フィラデルフィア生まれ。アリゾナ在住。アリゾナ大学医学校・統合医療プログラム部長。西洋医学と代替医療を統合する「統合医療」の第一人者。『癒す心、治る力』『ヘルシーエイジング』『ワイル博士のうつが消えるこころのレッスン』(以上角川書店)など著書多数。 オフィシャルホームページ:http://www.drweil.com/


マイケル・ディクソン

医学博士。1952年イギリス生まれ。1998年からNHS(英国国営保健サービス)連盟議長として医療改革に取り組む。「英国ライフチェック」議長、ウエストミンスター大学統合医療学科客員教授など多くの要職を務める。




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病気の概念を変えた岡田茂吉


司会
岡田茂吉思想の概要を紹介したDVDを鑑賞していただきました。お2人の感想をお聞かせください。

ディクソン
岡田思想がきわめてインターナショナルな思想であり、アメリカであろうとイギリスであろうと、どこででも通用する思想であることを、みごとに証明している作品だと思いました。わたしのクリニックの患者たちにも、岡田思想は驚くほど顕著な効果をもたらしています。ジョウレイを学んだ患者たちが、たんに自分が家族の不快な症状を緩和することに役立つというだけではなく、それまでとは別の人生観やライフスタイルをもつようになったというのです。それはたぶん、家族が互いにジョウレイをしあうという行為がまったく新しいマインドセット(思考様式)をもたらし、それが「与えることは受けることである」という岡田思想につらなっていったのだろうと思います。

ワイル
1992年にはじめて熱海の世界救世教を訪問したとき、日本の伝統を遵守している人たちの運動に強い印象を受けました。そして芸術や美の真価を認め、自然農法を実践し、互いに癒しあう技法を身につけるという「岡田思想の3本柱」に深く共感しました。いったい、この根本思想に反論できる人がいるでしょうか?
それはとてもいいことであり、わたし自身が生活のなかで実践しようと試みていることでもあります。
岡田思想が魅力的かつ実用的だと感じるもうひとつの点は、岡田氏が「病気は浄化作用*のあらわれである」と説いているところです。この思想によって、人びとの「疾病観」を変えることができる。病気が「自分に起こっている何か恐ろしいこと」であるというイメージから、もっとバランスのとれた考え方に変えることができるのです。岡田思想は病気の概念を変えることのできる、とても実用的な思想なのです。

ディクソン
それはとても古くて、しかもとても新しい概念でもありますね。がん細胞ができても、その細胞を貪食する免疫細胞が体内でつねにつくられているということを、現代のわたしたちは知っています。必ずしもその貪食細胞ががんを消滅させるとはかぎりませんが、たとえ不治のがんであるとしても、「病気は浄化」という信念をもつことによって、生存期間を大幅にのばすことは可能です。「浄化」という信念だけではなく、「利他愛」や、「互いに与えあうこと」によって生まれる力、それが生存期間をのばしてくれるのです。
岡田思想はそのようにすばらしく温かい思想であり、その信奉者がふえることによって、社会の再創造が可能になります。社会の再創造の方法を示してくれているのが岡田思想なのだと考えています。

ワイル
岡田思想はいま、わたしたちに大いなる知恵を提供してくれています。それは環境と調和して生きること、とくに何を食べ、どんな食物を、いかに生産するか、いかに美の真価を発見するか、人間の内部にひそむ癒しの力をいかに発見するか、それを他者といかに分かちあうか、といった見地から生まれた思想であり、知恵なのです。



(シンポジウム「統合医療の現在と未来」より抜粋。2010年10月、ワシントンDC)