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3つの芸術


美の芸術

月雪花─森羅万象の隅々にまで美はあふれています。
美しいものは五感をとおして人を癒し、美的観念を引き上げて、想念や言葉、行動を美しくします。そうした美がもたらす感化で真善美の世界を創る、それが「美の芸術」です。優れた芸術は、楽しみながら知らず知らずのうちに魂を向上させ、心と生活を豊かにし、平和な社会の実現を叶える近道になり得ます。優品をそろえた美術館、自然と調和した庭や風景をとおし、多くの人が美にふれ、感覚を悦ばせる機会を創造しています。

農業の芸術

健康な土壌と健康な種子を用い、そこに潜在する大自然本来の力によって最大限の恵みを引きだす自然農法。岡田茂吉は自らこの理念を実験し、昭和初期にはその可能性を確信していました。思想を引き継ぐ自然農法の耕作者は、農薬や化学肥料、遺伝子組み換えの種などは使わず、自然を敬い、自然に寄り添い、自然に身を任せた上で、自然の潜在力が最大限活用できるように、その地域の風土に合わせて農作業にいそしんでいます。そうして育てられた作物は安全良質で何より美味しく、人を健康にし、環境を保全しています。現在その成果は目覚ましく、国内のみならず海外でも自然農法ブランドは認知され、土づくりから自然食品まで多岐にわたる広がりを見せています。

海外での自然農法

ブラジル

自然農法が大きな成果を上げているブラジル。試験農場を設置し、栽培技術や養鶏技術の研究開発、土壌分析、普及教育、育種、水質浄化など、さまざまな活動を行っています。自然農法に適した種子を育てる巨大なハウス群も隣接。こうした活動が確実に実を結び、大手スーパーチェーンの店頭にはのべ60~70種類の自然農法による野菜や果物が並び、市民が気軽に購入できるようになっています。また自然農法によって飼育されたチキンはKORINブランドのグリーンチキンとして流通し、安全で味が良いとレストランでも高評価を受けています。2015年にはイベウナ市を「自然農法都市」に定める条例が制定されました。

タイ

タイでは1988年に自然農法研修センターが設立され、各地域でも研修を行うなど、のべ60万人以上が自然農法を学んでいます。王室プロジェクトでも自給自足、永続的な農業を推進しており、実施者が続々と増加。現在は隣国のカンボジア、マレーシア、ミャンマーなどからも研修に訪れ、東南アジアにおける自然農法の普及拠点になっています。また将来のタイ国の農業を担う人材を育成するため、サラブリ農業高校では自然農法の理念、栽培技術、EM(有用微生物群)ボカシのつくり方、養鶏や養豚、魚の養殖などを教えています。

アンゴラ

内戦が長く続いたアンゴラでは野菜の価格が高く、一般市民が新鮮で安全な野菜を容易に購入することができませんでした。2006年から自然農法の普及が始まり、2011年には27,000世帯(アフリカ全土では35,000世帯)が家庭菜園に取り組んで飢えから免れた人たちも少なくありません。なかには銃をくわに持ち替えて自然農法を始める元軍人も多く、基地内に菜園をつくり、採れた野菜を厨房に届けて自給自足に役立てています。人口2,300万人のウィジェ州では、ゾンゴとダンバの2つの土地2,000ha(東京ドーム425個分)で自然農法を実施。州内16の町すべてに自然農法の畑を広げることが計画されています。

公益財団法人 自然農法国際研究開発センター

岡田茂吉が提唱した自然農法は、自然農法実践農家や研究者たちによって引き継がれ、1985年に農林水産省所管の財団法人自然農法国際研究開発センターが設立。自然農法の技術確立、普及をめざし、試験研究、教育研修、国内外の普及活動、品種育成(育種)と採種、有期JAS認定業務などを行っています。2012年4月に内閣府所管の公益財団法人になっています。
http://www.infrc.or.jp


生命の芸術

太陽をはじめ雨も大地も空気も、自然は分け隔てなくすべての動植物に恵みを与え続けています。その循環する“いのち”こそ、「生命の芸術」です。生命には潜在的な美しさと自然治癒力がそなわっています。「浄霊」は相手に手をかざすことでこの自然治癒力のはたらきを引きだし、心身を癒し健やかな状態へと導きます。手かざしは人類最古の癒しのわざとも呼ばれ、現代ではエネルギー医学の基本として認められています。心身に不調和があるとき、人を心・体・霊が一体化した存在として診る点は、現代医学の最先端に位置する統合医療の思想とも重なっています。


繋がりと癒し

地球の全陸地のわずか1/400しかない小さな日本列島は亜寒帯・温帯・亜熱帯にまたがる細長い地形と四季の移ろいのおかげで、多様性に富んだ、奇跡のように美しい自然に恵まれています。
日本人はこの豊かな自然と共生しながら、自然の見えない力を神として畏れ、敬い、愛でる心を育んできました。獲物を授け、作物を実らせ、ときに地震や津波をもたらす自然に神のあらわれを感じとる心。見えるものにもまして見えないものを大切にする心。それが自然に対する謙虚な姿勢となり、自然と繋がり、影響し合いながら、長い時間をかけて持続可能な社会をつくり上げてきました。
自然と人、そして人と人の繋がりを通して、わたしたちは癒やされます。繋がりは、互助であり、利他であり、感謝の源泉なのです。